脳血管治療センター
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THE JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE

  Stanfordだより  

Stanford University
わたしが留学しているStanford 大学は、San Franciscoの40マイル南の、Palo Altoという町にあり、いわゆるシリコンバレーと呼ばれている場所の中心に位置しています。一年の300日以上が晴天という、気候にも非常に恵まれている場所です。キャンパスの面積は8000エーカー(約960万坪)にも及び、世界でも有数の広さを誇っています。もともと農地を開拓して作られたことから、学生からはFarmとも呼ばれています。この広大な敷地の中に、全米トップを誇るBusiness、Law、Medical、Engineering などのSchoolに加え、多種多様なAcademic departmentが連なっています。この数年は、こうした多様なdepartmentの垣根を取り払って、より多方面からのコラボレーションを可能とするために、Bio Xというプロジェクトも立ち上がり、そのための新たなビルもたちました。また一方で、100年以上前の大学設立当初からある建物も現役で利用されており、歴史と未来の両方を感じさせるキャンパスのたたずまいを見せています。
こうした学術的な部分に加え、世界で二番目のロダンコレクションを誇る美術館(入場料無料!)、八万人を収容できるスタジアム、プライベートゴルフコースなどがキャンパス内にあります。また、芝生のグラウンドがそこかしこにあり、週末にはあちらこちらで草サッカーやフライングディスクなどを楽しむ人であふれています。
キャンパスの外に目を移すと、インターネットでよく見かける様々な会社の社屋があります。Apple、Yahoo、Google、Sun Microsystems、HPなど、これらは実はスタンフォードの学生や卒業生が作った会社です。医療関連の会社も多く、カテーテル関連の会社だけでもBoston Scientific(Fremont)、Guidant(Santa Clara)、Abbott(Redwood City)、Micrus (San Jose) などがあります。こういった状況は、幾多にも及ぶいわゆる産学共同ベンチャーの結果であり、また同時に産学ベンチャーを促進する効果もあるように思われます。




リサーチラボ
わたしが、ここスタンフォードに来たのは2003年で、すでに3年以上をここで過ごしたことになります。もともとは、こちらのわたしのボスであるDr. Huy Doと村山先生がUCLA時代にともに研究をしていたという縁で、スタンフォードに来ることになりました。当初は、もっと話し、聞き取ることができると思っていた英語も全く理解することができず、さらにラボというラボもなく、何から始めればいいのかもわからない状況でした。しかし恵まれた気候とのどかな雰囲気に加え、Dr. Doのあたたかいサポート、後から来た家族のパックアップに恵まれ、リサーチを進めることができました。
わたしが取り組んでいる研究は、脳血管奇形治療のための液体塞栓物質に関するもので、ブタを使って実験を行っています。ラボでは常にDianeとWendyという二人の獣医さんが、麻酔や器具の管理などを手伝ってくれます。また動物実験のためのプロトコールを書くのにアドバイスをくれたり、実験がうまくいかなくて落ち込む僕を励ましてくれたりと、まさに彼女たちなしの実験はありえないという感じです。彼女たちの目標は、このラボにある10年以上前の血管撮影の機器(病院で捨てられたものを拾ってきた)を新品のものに換えることだそうです。残念ながら、Dianeは今年の初めに引退してしまいました。
別のプロジェクトとしてわたくしが携わっているのがSiemensとの共同研究で、新しい血管撮影機器(慈恵のEndovasucular ORに導入されているものと同じもの)の評価及び新たな画像診断に関するものです。こちらは打って変わって、最新式の血管撮影機器が「動物専用」に設置されており、脳だけでなく全身の様々な部位の治療に関する研究を行っています。わたしも人手が足りないときなどは、肝臓や腎臓の血管撮影を行うこともあります。
これ以外にも、実際にはプロジェクトとしては頓挫してしまいましたが、Bioengineeringの人たちとのコラボレーションで、新たな治療デバイスなどにも携わっていました。


臨床活動
スタンフォード大学病院は、病床数600強の3階建ての病院です。私が今所属しているDivision of Interventional Neuroradiology臨床部門では、二人のAttending physician と私を含む3人のフェローが実際の患者さんの治療に当たっています。昨年2月に、最新式の血管撮影機器を導入し、より精密な診断とこれに基づく安全な治療を確立しています。スタンフォードの特徴としては、疾患がバラエティに富んでいることといえるでしょう。特に、脳神経外科のチーフであるDr. Gary Steinbergが脳動静脈奇形(AVM)の手術を積極的に行っていることから、AVMの塞栓術の症例がかなりあります。また、Dr. Doは椎体圧迫骨折に対するVertebroplasty(椎体形成術)の分野ではパイオニアの一人であり、年間100例を超える症例をこなしています。
フェローの一日は、朝7時過ぎの回診から始まります。前日治療した患者さんの術後のCTやMRIなどをチェックしてから、ICUと病棟を回ります。またその合間に、その日の手術予定の患者さんの診察をして手術同意書を取ったりしています。患者さんが血管撮影室に入ると、Nurseと放射線技師がセットアップを行い、準備が終わるとポケベルで呼ばれます。治療中は、ほとんどすべての症例で、脳波などの神経生理学的なモニターを行うため、専門の技師さんが部屋の端っこで、手術中に異常な所見が出ないかどうかをモニターしており、Neurologistも頻回にチェックをしにきます。また、術後の管理は脳神経外科やStroke Unitのレジデントやフェローが行っているため、NeurosurgeonやStroke neurologistも手術の状況をチェックしにきたりします。
また週に一度、術前術後の患者さんのカンファレンスが行われ、今後の治療方針が決められます。こういったカンファレンスで力強いのがNurse Coordinatorの存在です。彼女たちはAttending physicianについて、患者さんの入院前後のマネージメントや、入院中の患者さんや家族とのコンタクト、手術日程の調整など、実際の“医療行為”以外の重要な部分を一手に引き受けてくれています。
夕方にもう一度回診し、翌日のケースのレビューをして、その日の手術の読影をすると一日が終わります。日によっては、3時過ぎに終わることもあれば、9時過ぎまでかかることもありますが、概ね7時過ぎには帰宅の途につきます。




これから
これまでの3年近くの間に学んだことは決して少なくありません。研究やテクニックだけでなく、医療システムの違いやそれに基づく治療方針なども見ることができました。また、いろいろな国の様々な分野の人たちとの出会いも、かけがえのないものです。こういった多くの経験を還元していくとともに、今後も継続的にコミュニケーションとコラボレーションを構築して行きたいと思います。



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