脳血管治療センター
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THE JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE

  UCLAだより〜結城一郎(Ichiro Yuki)〜  

UCLAとの交流の歴史
Dr. Fernando Vinuela (現在UCLA神経放射線科主任教授)と慈恵医科大学脳神経外科の交流はさかのぼること30年以上前になります。阿部主任教授がカナダのロンドンオンタリオ大学の伝説的な脳外科医Dr. Charles Drakeの元で臨床研修を積んでいた当時の旧友がDr. Vinuela でした。1995年、部長の村山雄一医師 (現脳血管内治療センター教授)が留学で当施設を訪問した時より新たな交流の歴史が始まりました。
1990年Guglielmiらと共に脳動脈瘤塞栓用コイル(GDCコイル)の開発・臨床応用に成功し、世界的に脚光を浴びていた当施設で村山医師は多くの手術を担当しただけではなく治療方法の改善に尽力し、2002年生体吸収性を持つ高分子ポリマーコイル(Matrix)の開発に成功しました。さらにNIH (National Institutes of Health)より研究資金を得て、現在も研究が続行されています。
UCLA Medical Center
カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部付属病院UCLA Medical Centerは1955年に創立され、今年50周年を迎えました。US News & World Reportの2004年度優秀病院ランキングでは全米第5位、西海岸第1位にランクしており、世界でもトップレベルの脳卒中センターとして認識されています.LAだけでなく全米から年間30万人以上の患者さんが訪れ、1000人の医師と3500人の看護師ほかコメディカルスタッフが治療にあたっています。 研究のactivityも非常に高く、NIHからの研究費獲得は全米9位となっています。最近ではProf. Ignarroがノーベル賞を受賞しています。2007年にRonald Regan UCLA Medical Center(写真)として新しい病院のオープンを予定しています。
臨床の現場
我々のDivision、 Division of Interventional Neuroradiology (Leo G. Rigler Research Center)は1986年にProf. Fernando VinuelaによりRadiologyの一部門として開設されました。1990年にこのGDCコイルは瞬く間に動脈瘤塞栓術の世界標準となり、その特許権使用料収入はカリフォルニア大学全10校が所有する特許の中で第2位(1位は肝炎ワクチン)を維持しています。
GDCコイル開発後は動脈瘤塞栓術のパイオニア的施設の一つであり、数多くの脳血管内治療医を世界に送り出しています。これまでに30人の臨床フェローを訓練し、世界中から約300人の研修生を受け入れ教育して来ました。 現在、年間400例の治療症例をProf. Vinuelaの他、Prof. Duckwiler、Prof. Murayama(東京慈恵会医科大学兼任)、Dr. Jahanの4人のattending physicianと二人の臨床フェローのチームが治療にあたっています。昨年度症例数は動脈瘤塞栓130例、脳梗塞血栓溶解・破砕術50例、頸動脈ステント50例、動静脈奇形50例でした。
研究活動
Rigler Research Centerはデジタルサブトラクションアンギオ装置(DSA)を備えた大型動物用のラボで、現在3人の研究フェローと3人の動物技師と専任獣医が共同で実験・手術を行います。 ここでは主にブタ・イヌ・ウサギなどの大型動物でのデバイス開発・評価実験を行っています。今年新たにPhilips社製のフラットパネルDSAを導入し、画像処理能力が大幅に向上しています。 このRigler Centerの他に、組織染色を行うVinters lab、分子生物学的実験を行うWeintraub center、computer simulationによる流体力学的分析を行うcomputer lab、大型動物用3 Tesla MRI labがあります。
我々の主な研究テーマは、現在動脈瘤塞栓次世代コイル及びステントの開発、動脈瘤hemodynamics解析、新しい動脈瘤動物モデルや頸動脈狭窄動物モデル開発、動静脈奇形に用いる液体塞栓物質の開発などを行っております。 研究領域は医学以外に分子生物学・生体工学・流体力学・コンピュータ工学などの多様な領域が密接に関わるため、非常に多くの研究者や企業の担当者と話をする機会があり、これらのinteractionは非常に創造的な仕事内容に結びついています。
最後に
臨床に用いられる薬剤、医療機器の開発には通常非常に多くの年月と労力を伴います。特に現在の日本の状況とこの施設での様子を比較すると、大きな違いを感じずにはいられません。依然としてこの国の医療水準を世界の最先端に保ち続けているのは1)新たな治療方法の開発に対しての国、個人、企業の投資、2)治療効果を上げる可能性のある新しい発見に対してのFDAを含む公的機関の積極的な認可、3)そして何よりも治療を受ける患者側の新しい治療方法に対する積極的な姿勢、に由来するものと思われます。 だからといって必ずしも欧米の医療すべてを賞賛するわけではありません。 個人的にはこの国の医療を垣間見て、そして各国から来る医師達と話をしながら受けた印象はむしろ「日本はすばらしい医療水準を誇る国である。」というものでした。 しかし、新しい治療開発という面では、これらのシステムを良い部分を導入しない限り、「時期の遅れた臨床技術の輸入」を続けるわが国の実情を脱することは非常に難しいであろう、ということも否めません。 慈恵医大血管内治療センターの新しいシステムはそれらの問題点を打破すべく少しずつ前進を続けています。私自身も、海外の情報の発信基地として、そしてコラボレーションのできる海外の研究機関の一員としてこれからも我々のチーム医療に貢献していけるよう努力を続けて行きたいと思います。



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